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社内の業務ロジックをブラックボックスにしてはいけない理由と、顧問弁護士の活用のすすめ

社内ブラックボックスのリスク

多くの職場には、その人でなければ事務の進め方が分からないブラックボックスが存在するのではないでしょうか。例えば、

前者はAさんに属人化した業務ロジック自体がブラックボックスになっていることが問題であり、後者は業務ツールといったソフトウェアになっている点で,一見属人化していないように見えますが、実はBさんがいないとバージョンアップや修正ができず、業務の見直しもできないことが問題です。いずれの場合も、AさんやBさんが居なくなると、会社の業務全体に重大な支障が出てしまいます。

仮にAさんやBさんが若くて定年までは日があるとしても、ある日突然退職届を持って来たり、心や体の故障が生じないという保証はありません。

また、例えばAさんの勤務態度に問題があったり、Bさんが問題行動をとったとしても、会社として「辞められたら困る」という意識がある限り、強く注意や処分がしづらくなる、ということです。こうした態度が他の社員の目には不公平にうつり、職場全体の雰囲気が悪くなるという懸念も当然生じます。

AさんやBさんに該当する人の中には、自分だけが独占する知識が「自身の社内での地位」を支えていることを自覚しているため、これを他人に教えたがらない人もいます。あるいは、教える気はあっても、人付き合いや説明が苦手でうまく教えられない場合もあります。そうした場合、新人社員をAさんやBさんの下に付けてバックアップ体制を作ろうとしても、コミュニケーションが成立しなかったり,パワハラで辞めてしまったりなど、上手くいかなという事態が生じがちです。

ブラックボックスを放置することの法的なリスク

以上のような、特定の従業員に会社の基幹業務が依存したままバックアップ体制がない状態は、会社として非常にリスクが高いことは、十分ご納得いただけることと思います。
これを法的なリスクとしてみた場合、例えば、

等といったことが考えられます。

もちろん、法的なリスク以外にも、社内や部署の雰囲気が悪くなる、従業員が経営者の言うことを聞かなくなる、板挟みになった担当者が疲弊する、本来業務にリソースを集中できず売上が伸びない、等々の無形の損失がたくさん生じます。

ブラックボック解消のためにIT導入?! <<その前に>>

自社の業務ロジックを整理することの重要性

社内業務のブラックボックスを解消する手段として、ITシステムを導入しようと言う話はよくありますし、自社のシステムを導入するメリットの謳い文句にしているシステムベンダさんも多いかと思います。

確かにITシステムを導入すれば、業務フローの見える化が進み、所定の決裁ルートを通らないと支払いなどの重要な処理が進められない関所を設けることができるため、業務ロジックを管理する強力な手段となり得ます。

しかし、せっかくベンダの言われるままにITシステムを導入したのに、非常に使い勝手が悪いものが出来た結果、そのうち誰も使わなくなり、元の紙帳票や,自前の業務ツールに戻ってしまうという失敗事例も少なくありません(この場合、システム開発紛争という新たな法律問題が生じうる訳ですが…)。

紙や業務ツールでやっていた事務処理を、システムベンダが提供するような専用システムに置き換える際に失敗する典型例は、「従来の紙帳票や自前ツールのPC画面をそっくりそのまま新システムに載せようとする」ことです。

こうすることで、導入する新システムが過度に複雑になりメンテナンス性が低下するほか、これまで紙や口頭で柔軟に対応していた異例処理に対応できなくなり、システム外の処理を認める口実になります。その結果、ズルズルと元の紙と自前ツールの世界に戻っていってしまいがちです。

これを避けるためには、

といった、事前の準備が極めて重要になってきます。

また、整理された業務ロジックが担保されるよう、必要に応じて就業規則の追加・修正を行なっていく必要もあります。

我々が顧問弁護士として提供できる価値

ここまで読んでいただいた方の中には、なぜこんな文章をシステムベンダでもない弁護士が書いているのかと疑問に思われる方がおられるかもしれません。

たしかにベンダさんの中には、要件定義前にコンサル契約を結んで、上記のようなブラックボックス化された作業の洗い出しのお手伝いをされるところもあります。熱心なベンダさんであれば、上記の例にあるAさんやBさんのような人から粘り強くヒアリングを重ね、今ある業務ロジックを見える化するところまではやってもらえると思います。

あるいは、導入コストの観点から、業務ロジックの見える化は社内で取り組まれる会社も多いでしょうし、社内でヒアリングするメリットを活かして、システムベンダより正確にこの作業を終えられる会社も珍しくないかもしれません。

しかし、こうして見える化された業務ロジックの適法性をチェックして必要/不要/不足といった仕分けをしたり、就業規則の作成・改定を提案する場面では、ITに対する知識や経験をもつ弁護士が貢献できる部分が大きいと考えています。特に、顧問弁護士としてその企業の業態や内部事情を日常的に知ることができる立場であれば、より適切な提案ができると考えます。

また、業務ロジックを見える化することに非協力的な従業員の方がおられるような場合であれば、例えば社内研修という形で、こうした作業が会社の今後のために法令上求められている旨や、労働者の地位は守られる(人減らしが目的ではない)ことなどを弁護士からご説明することで、以後の作業に協力していただけるようになる場合もあるかと思います。この場合も、突然見知らぬ弁護士が現れるより、顧問弁護士として継続的に研修を提供してきた関係にある方が、より自然で円滑に話すことができます。

顧問弁護士の「活用」方法は多様です

この文章では、多分これまであまり意識されて来なかったであろう、顧問弁護士の活用方法についてご紹介しました。

弁護士といえば裁判、と思われがちですが、力新堂法律事務所では、裁判で解決するより、紛争を未然に防止すること、さらには売上アップに貢献できる存在になることが依頼者にとってメリットが大きいと考えています。そのような関係を目指し、些細なことでも、気になることは日常的にお話いただける関係性を構築できるよう、使い勝手の良い顧問弁護士サービスを提供しております。

人間ドックと一緒で、問題がないことを確認し、安心していただくことにも大きな意味があると思いますので、現時点で紛争とは縁が無いという経営者の方も、是非お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

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