死活問題となり得る突然の出店停止
Amazon、楽天市場などのECモールにおける売上が大きい事業者のみなさまにとって、もし出店が停止されたら、大打撃になります。これは、突然、何の前触れもなく行われる場合もあり、売上がゼロになり、資金繰りがショートすることも想定されます。
今回は、このような措置を受けた場合、みなさまがどう立ち回るべきか、その要点及び対処法を解説します。
初期対応を誤らないこと
何事も初期対応は極めて重要です。ここで誤った方向で対応すると、取り返せない場合があります。出店停止措置を解除に対処するために、焦らないことが重要です。特に、次の行為はNGです。
感情的にクレームを連発する
近時、カスタマーハラスメントは問題視されています。ECモールのCS担当者に暴言を吐いたり、理由もないのに長時間担当者を拘束したりすることはカスタマーハラスメントと評価されてしまいます。
いったんクレーマーと認定されてしまうと、今後の交渉・協議ができなくなる可能性もあります。絶対に止めてください。
別アカウントを作成する
別アカウントを作成したとしても、法人名、銀行口座や担当者名などで、同一法人がアカウントを作成していることは直ぐに判明します。そうなると、新しいアカウントでの出店も即出店停止となるだけです。むしろ、悪質な利用者だという評価ともなるため、今後の救済が困難となってしまうおそれがあります。したがって、このような行為も絶対に止めてください。
正しい初期対応:出店停止措置の理由を知ること
初期対応として実施すべきは、冷静な事実確認です。
通常、事業者は、出店する際に膨大な量の出店規約の確認を求められ、その内容に同意した上で出店を行っています。したがって、出店停止措置を受けた場合には、この出店規約を確認し、なぜご自身が出店停止措置を受けたのかを確認する必要があります。
また、誰が読んでも明確に理由が記載されていることがないこともありますが、ECモールを運営するプラットフォーム提供者は、出店停止を行うにあたって、その理由を提示することが通常です。この理由と出店規約とをよく読んで、なぜ出店停止措置を受けたのかを確認する必要があります。
プラットフォームからの通知や、当該ECモールにおける取引に関する各種データなどを確認した上で、出店停止を受けた理由を正確に把握してください。その上で、何をすればよいのか検討してください。
デジタルプラットフォーム取引透明化法
理由の提示に関しては、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律(透明化法)という法律が存在します。
現在、Amazon.co.jp、楽天市場及びYahoo!ショッピングがこの規制対象となっており、これらのプラットフォームが出店停止措置を講じる場合、原則として30日前までにその旨と理由を通知しなければならないと定められています。
なお、これには重要な例外があります。次の場合、速やかに出店停止を講じることができてしまいます。したがって、30日前に通知が来るから安全だとは、必ずしもいえません。
- 法令等により出店停止を行う場合であって、速やかにこれを行う必要があると認められるとき
- 次の対応をするため、速やかに出店停止を行う必要があると認められる場合
- サイバーセキュリティを確保するため
- 詐欺その他不正な手段を用いた侵害行為に対応するため
- 公序良俗違反が明らかな行為に対応するため
出店停止措置の理由を踏まえた次のステップ
出店停止措置の理由を確認した結果、まず、出店停止措置の理由を確認したものの、本当に思い当たらない、ECモール側に事実誤認がある場合など、出店停止措置に理由がない場合が想定されます。他方、過失にせよ、出店停止措置に理由がある場合が想定されます。
なお、実際には出店停止にまで至る場合だと後者のパターンが多いとは思います。
出店停止措置に理由がない場合
この場合、ECモールの問合せ窓口を確認した上で、当該窓口に、確認された事実関係と、それを踏まえると出店規約上の違反がないなどの説明を行っていくことになります。
出店停止措置に理由がある場合
この場合、ECモールの問合せ窓口に、出店規約上の違反があったこと等は認めつつ、次の事項を説明して謝罪をしていくことになります。
- まさに問題となっている出店規約の違反の改善状況
問題となった商品の出品を取下げている、当該商品の在庫を廃棄済みであるといった報告をすることになります。 - 違反に至った根本原因
下記再発防止策を検討するためには、なぜ違反をしてしまったのかを明らかにすることは必須です。再発防止策が実効性のあるものだと説得的に論じるため、根本原因の報告も必要となってきます。 - 再発防止策
ECモールは、同様の出店規約の違反を防止しなければ、出店の再開を認めてくれません。根本原因を踏まえ、説得力のある再発防止策を講じる必要があります。一般的には、不足していたチェック体制の追加や、役職員への研修といった措置が有効なものとなります。
弁護士にも相談を
ECモールの問合せ窓口に問い合わせても、なかなか対応してくれないといった問題もあります(なお、この問題に対し、透明化法に関連して、経済産業省が問合せ窓口を設けています。)。また、説得力ある説明を実施していくためには、出店規約の解釈を正しく行い、かつ、関連する多様な法令に精通している必要があります。
プラットフォーム側は強大な裁量権を持っているため、単に「再開してください」と懇願しても応じてくれません。弁護士であれば、出店規約の法的論点を整理し、プラットフォーム側が受け入れざるを得ない客観的で実効性の高いプラットフォームへの報告のサポートができます。
出店停止は企業にとって死活問題です。手遅れになる前に、ぜひ当事務所にご相談ください。