債務整理のデメリット12個

債務整理のデメリット12個

「債務整理って何?」という方もおられるでしょう。
しかし、難しく考えず、とりあえず下の説明を読むだけでも、十分に参考になると思います。

※「債務整理って何?」という方はこちらの記事をご覧下さい。

債務整理をすると、メリット(借金のカットなど)は当然あるだろうけど、デメリットが不安という方も多いのは事実です。
今回は、その辺りの不安について、弁護士が正直にお話しします。
ご自身の場合の参考にしてみてください。

債務整理(破産・個人再生・任意整理など)をするデメリットは次の通りです。

1.破産のデメリット

①ほとんどの財産を失う!

例:自宅マンション、自家用車、退職金、生命保険、預貯金などなど、大きな財産はほとんど全てを手放さなければなりません。破産は、(免責決定により)借金をほぼ返さなくてよくできる反面、債権者へ資産を分配する手続きでもあるので、避けられないデメリットです。ただし、これには例外もあり、手元に一定の財産を残すこともできます。残せる金額は、場合によりますが、きちんと裁判所に説明すれば100万円近くを残すことが可能です。

②仕事を失う可能性がある!

破産の手続きを進めている最中は、一定の職業につくことができません。相談者でよくあるのは、警備員と生命保険の外交員の方です。ほかにも、弁護士や税理士などの職業もつくことができません。要するに、他人の財産を守ったり預かったりする職業にはつけなくなる場合があるのです。
しかし、手続きが完了して免責が確定すれば、このような制限はなくなります。悩むところではありますが、だいたい4~6ヶ月くらいは別な仕事(アルバイト可)をして、生活の再建を目指すようにしましょう。

③ブラックリストにのる!

ブラックリストというものが、実在するわけではありません。俗に言う「ブラックリスト」とは、信用情報機関などと呼ばれる組織のデータベースのことです。金融機関等が連携し合って、破産した人の情報を共有するシステムがあるのですが、そこに登録されると金融機関等の融資の審査が通らなくなります。ただし、5から10年たてば、データベースから消してもらえるようです。
ただ、いつも依頼者の方々には最後にアドバイスさせていただくのですが、時間が経って将来的に借りられるようになっても、新たな借金は極力避けるのが無難です。

④官報に名前がのる!

これは③ブラックリストにのる!よりも、実害は小さいと思います。そもそも「官報」とは新聞のような見た目の小さな冊子で、兵庫県なら兵庫県庁の近くの販売所で売っていたりします。中に細かい字で破産者の氏名などがずらっと並んでいます。死ぬまでに官報を読んだことがある方の方が少ないのではないでしょうか。ですので、「官報に載ってしまったので、友人に知られてしまった」と言う状況は、現実的にほとんど起こらないと思います。正直、気にする必要はないでしょう。

⑤保証人・連帯保証人に迷惑をかける!

もし借金を負っていた人(債務者)が破産すれば、債権者は(連帯)保証人に取立てに行くはずです。連帯保証人とは、そのような時に備えた存在だからです。そうすると、(免責決定により)ご自身の借金をほぼ返さなくてよくなっても、保証人になってもらった方に全額の請求が行くことになり、大変な迷惑をかけてしまうのは避けられません。
よくあるのは、妻、親、兄弟等が連帯保証人になっている場合です。この場合、それらの方に財産があまりないときは、事実上一緒に破産することになるでしょう。よくあるパターンとすら言えるかも知れません。

2.個人再生のデメリット

①条件が厳しい!

個人再生は、借金を約8割カットしてくれます。逆に言えば、2割は3年(から5年)できる収入がなければ認められません。安定した収入が条件なのです。正社員である必要はなく、アルバイトでも大丈夫です。ほかに、夫婦の合計収入で返済できるなどの場合でも認められる場合があります。

②ブラックリストにのる!

破産でもご説明しましたが、個人再生でもブラックリストにのります。ただし、5から10年たてば、データベースから消してもらえるようです。この期間は、新たな借金やカードを作ったりすることができません。

③官報に名前がのる!

これも破産でご説明したとおりです。ただ、普通の人は官報なんて読まないので、実害はほとんどないのが大部分です。

④保証人・連帯保証人に迷惑をかける!

これも破産でご説明しました。保証人になってもらった方に全額の請求が行くことになり、大変な迷惑をかけてしまうのは避けられません。ただし、住宅ローンについては全額返す条件で、個人再生を利用する場合は、住宅ローンの保証人へは請求はいきません(ちゃんと返済しているから)。

3.任意整理のデメリット

①あまり借金が減らない!

金利分などしか減らせないので、借金総額は「ほとんど減らない」と感じるかもしれません。要するに、少しだけ減らしてもらえれば、今の借金を乗り切れるという人向けです。

②条件が厳しい!

任意整理は、債権者と任意の交渉で合意できなければなりません。「〇万円ずつなら返済できます」「分かりました。では来月からはその金額を返済してください」という風に、債権者と話し合いをして合意するのです。借金の額にもよりますが、安定収入がないと返済のめどを立てずらく、合意は難しいでしょう。

③ブラックリストにのる!

破産や個人再生でもご説明しました。同じようにブラックリストにのります。ただし、5年たてば、データベースから消してもらえるようです。

他にもありますが、上記の12個が大きなデメリットです。

では、どの手法を選ぶのがよいでしょうか?
このお話しは、ぜひ別の記事をご覧下さい。

茅根 豪のプロフィール画像

茅根 豪

Go Chinone

兵庫県弁護士会業務委員会等/甲南大学知的財産法研究会(事務局)/甲南大学法科大学院兼任教授(2020年・企業法務論)

弁護士を志す前は、都心の事業会社で不動産ビジネス等を経験しました(宅建士有資格者)。そのためか不動産関連のご相談を多く受けます。現在は、事務所のメンバーや他業種の方々と一緒に、税務、労務、広告規制、マーケティングなどについての勉強会を開催しています。弁護士業以外の活動としては、大阪のトレーニングジムで運動機能の改善指導を行ったり、東京で定期開催される政治・経済の勉強会等に参加しています。法律のみならず、広く社会の諸分野についても見聞を拡げていきたいと思っています。

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