FC本部の言うことは絶対か?加盟店が知っておくべき「優越的地位の濫用」

はじめに

フランチャイズ(FC)に加盟して独立したものの、本部の圧倒的な立場の強さを前に、理不尽な要求を飲み込んでしまっている加盟店オーナーは少なくありません。FC本部の要求が業務効率やブランド力を高めるための「ルール」であるうちは良いのですが、それが度を越した「押し付け」になっている場合、法律があなたを守ってくれる可能性があります。

今回は、法律家としての視点から、FC加盟店オーナーが知っておくべき「優越的地位の濫用」の基礎知識と、本部とのトラブルに対応するための注意点をまとめました。

「優越的地位の濫用」は加盟店を守る法律

独占禁止法と聞くと「独占」のニュアンスから、「大企業同士のニュースじゃないか」と思われがちですが。しかしながら、独占禁止法は、個人事業主や中小企業が大企業に対抗できる強力な武器となり得ます。

「優越的地位の濫用」は、独占禁止法が定める禁止行為(不公正な取引方法)の1つです。ざっくり言えば、「取引上の立場が強い者(FC本部)が、その立場(=優越的地位)を利用して、弱い側(FC加盟店)に対して不当に不利益を強いる行為(=濫用行為)」を禁止するルールです。

優越的地位の鍵は「取引異存度」

法律上、FC本部が優越的地位に該当するかは、本部が大企業であるか否かで決まるわけではありません(大企業であるというのは優越的地位を基礎付けるいち要素ではあります。)。

このように、FC加盟店がFC本部との取引依存度が高くFC本部に従わざるを得ない関係にあれば、「優越的地位」にあると判断されます。
そして、FC契約が締結されている場合、大規模加盟店オーナーを除いては、このような関係が認められることは多いでしょう。

典型的な濫用行為

濫用行為は、一言で言えば優越的地位にあるFC本部が弱者であるFC加盟店に対して実施する搾取です。取引開始時に定められていない不利益を後出しで半ば強制することや、要請された行為をFC加盟店が実施しても売上増加や販売促進といった直接的なメリットがないものが該当します。

公正取引委員会は、「フランチャイズシステムに関する独占禁止法上の考え方」を公表しています。公正取引委員会は7つの濫用行為を挙げていますが、これまで相談を頂いた3つを紹介します。

指定業者からの強制仕入れ

正当な理由がないのに、原材料、消耗品、店舗の備品等を、すべてFC本部が指定する業者から購入させること」です。
正当な理由は、たとえば、ブランドの「味」や「品質」を一貫させるためであったり、一括大量購入によるスケール・メリットを実現するためであったりといった事情があれば認められるとされています。他方、単にFC本部が中間マージンを抜くためだけに、市販の同等品より明らかに割高な物品を強制的に買わせる行為は、濫用行為に該当します。

見切り販売(値下げ)の禁止

賞味期限が迫った商品や型落ちした在庫をFC加盟店の判断で値下げして売り切ろうとしたら、FC本部から「ブランドイメージが崩れるから絶対にダメ」と禁止されるケースです。廃棄ロスによる赤字の負担を加盟店に一方的に押し付ける形になるため、過去に大手コンビニチェーンが公正取引委員会から排除措置命令を受けました。

一方的な条件変更

「FC契約の契約書に『契約を変更することができる。』と書いてあるから」と、FC本部の都合で一方的に契約内容を変えられてしまうケースです。たとえば、事前の協議や納得のいく説明がないまま、新規事業の導入に伴い、後出しで「システム維持費」などの名目で新たな費用が課されるといったものが典型例です。

FC本部の要請に泣き寝入りしないために

FC本部と対等なパートナーとして健全にビジネスを続けていくために、何をすればよいでしょうか?

FC契約書や法定開示書面の理解

取引開始時に交付される法定開示書面には、FC加盟店が負担すべき費用や出店に関するルールが細かく記載されています。そのため、法定開示書面は、「事前の説明と違う!」と主張するためのベースになります。

「本部の指示」はすべて証拠に残す

口頭で理不尽な指示(「値下げしたら契約更新しないぞ」など)をされた場合、後々「言った」「言わなかった」という水掛け論に陥ってしまいます。このような指示や打合せについては、記録として残しておきましょう。

専門家に相談する

FC本部に直接「独占禁止法違反じゃないですか?」と主張することは、関係性を悪化させるリスクもあり、おすすめしません。まずは、弁護士などの専門家に相談したり、公正取引委員会に相談したりした上で、対応策を練っていく必要があります。外堀から埋めていくのが賢明です。

おわりに

フランチャイズビジネスは、FC本部とFC加盟店が対当なパートナーとしてお互いに利益を上げてWin-Winの関係を構築することが肝要です。「本部のこの要求、ちょっとおかしい気がする」、「契約更新を盾に無理難題を押し付けられている」とお悩みの際は、ぜひお気軽に当事務所までご相談ください。

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