FC本部の言うことは絶対か?加盟店が知っておくべき「優越的地位の濫用」

はじめに

IT導入補助金(なお、本稿では、デジタル化・AI導入補助金導入補助金2026を主に想定します。)をはじめとする各種「IT補助金」は、中小企業や小規模事業者のDX(デジタルトランスフォーメーション)を強力に後押ししてくれる心強い制度です。ITツールを販売したいベンダーにとっても、購入したいユーザーにとって、重要な制度といえます。

しかし、補助金は、「もらえるお金」である反面、原資は税金となっています。そのため、厳格なルールがあったり、ペナルティが定められていたりします。軽い気持ちでルールを破ると、後から「補助金の全額返還」や「事業者名の公表」といった重大トラブルに発展しかねません。

今回は、ITツールを提供する「IT導入支援事業者(ベンダー)」と、ITツールを導入する「補助事業者(ユーザー)」の双方に注意いただきたい点を、いくつか整理してみました。

なお、IT補助金には細かい要件があります。今回は話を分かりやすくするため、「これだけは絶対に押さえておくべき注意点」に絞って解説します。

IT導入支援事業者(ベンダー)の注意点

ITツールを販売するベンダーは、売上を伸ばしたい一心で行った営業活動や手続が、補助金事務局から「不正行為」や「ルール違反」と判断されてしまう可能性に注意が必要です。

「実質無料」、「キックバック」などの不適切勧誘

こういった勧誘は、最も厳しく目を光らせられている行為です。これらは不正受給であるとして刑事罰に問われる可能性もあります。また、発覚すれば支補助金の返還を求められるといった制裁も待っています。

上記のような甘い言葉で、ユーザーに対して営業することは、絶対にNGです。

申請手続の「丸投げ」の受託

申請マイページの開設及びその後の交付申請における手続など、補助金の申請に関し、ユーザー本人が行う必要があるものがあります。そのため、ベンダーとしては、あくまで「申請のサポート(入力内容のアドバイスなど)」に留め、最終的な申請ボタンはユーザー自身に押してもらう体制を徹底してもらうといった形で、ユーザーからの丸投げを回避する必要があります。

また、かかる手続を「代行」していると評価される場合、行政書士法等に基づく士業の独占業務を侵害しているとして、刑事罰に問われる可能性もあります。

交付決定前の契約・発注(フライング)

法律関連の話ではありませんが、これは悪意がなくても非常に多く発生するトラブルであるため、指摘しておきます。

補助金は、原則として、事務局からOKという通知=交付決定を受けなければ、実際に補助金を受けられるかは不明です。そのため、交付決定前に、契約の締結、発注、支払いといった発注に関わる行為を行ってはいけません。営業担当者が焦って「先に契約だけ済ませましょう」と進めてしまうと、その時点で補助対象外になってしまいます。社内の営業フローを厳格に管理することが必須です。

補助事業者(ユーザー側)の注意点

補助金を使ってITツールを導入する企業側も、「ベンダーが全部やってくれるから安心」と油断してはならず、自分ごととして制度を理解しておく必要があります。

「丸投げ」の禁止

申請をベンダーに丸投げしていると、事務局からのヒアリングや事後検査(監査)があった際に、「自社でどう活用しているか」を全く説明できないという事態に陥ることが想定されます。この場合、交付決定を取り消されるリスクがあります。

また、ベンダーが勝手に作った無理な事業計画のせいで、後述する効果報告の達成が困難になるケースもあります。「自社の事業のために、自ら申請する」という意識が不可欠です。

財産処分(転売・解約)の制限

補助金を使って導入したITツール(PCなどのハードウェアや、ソフトウェアのライセンス)は、国からの補助を受けて取得したものであり、財産処分が制限されます。具体的には、多くは2年〜5年程度の間、勝手に第三者へ転売したり、廃棄したり、途中でソフトウェア利用の契約を解約したりすることはできません。 もし「使わなくなったから」と勝手に処分すると、補助金の返還を求められる可能性があるため、注意してください。

事後実施効果報告の義務

補助金は、お金をもらってITツールを導入したら終わりではありません。

導入後、数年間にわたり「実際に労働生産性がどれくらい上がったか」、「売上はどう変化したか」といった事項を事務局に報告する義務があります。この報告を怠ると、最悪の場合、補助金の返還を求められることがあります。補助金対象のITツールを導入する前の段階から、事後報告の手間やコストを認識した上で、織り込んでおく必要があります。

まとめ

以上のとおり、IT補助金は正しく使えば、ベンダー・ユーザー双方に多大なメリットをもたらす制度ですが、一歩間違えれば「知らぬ間に規約違反をしていた」、「不正受給の片棒を担がされた」ということになりかねません。少しでも不安を感じた際は、ぜひお気軽に当事務所までご相談ください。

ご相談予約

CONTACT

メール・お電話・LINE各種でご相談の予約を承ります。お急ぎの場合は電話でお申込みください。

TEL.0120-806-860

お電話受付時間 9:00〜20:00(土日祝含む)
※執務時間 平日 9:00〜18:00

ページの先頭へ